冷戦後の世界と日本
冷戦後の世界と日本 まとめ
1. ひとことで言うと
代わりに、地域紛争やテロにどう関わるのかが、日本に直接問われるようになった
1989年にベルリンの壁が崩れ、1991年にソ連が解体して冷戦は終わります。世界の対立は、大国どうしの正面衝突から、地域の紛争やテロへと形を変えました。日本は、資金を出すだけでなく人を出すことを求められ、その根拠となる法律を整えていきます。同時に、アジアの経済が急成長し、日本の産業と貿易の相手も変わっていきました。
2. 湾岸戦争が突きつけたもの
1990年、イラクがクウェートに侵攻し、翌1991年に多国籍軍との戦争になりました。日本は憲法や国内法の制約から部隊を出さず、多額の資金を負担します。
しかし戦争の終結後、日本の貢献が国際的に十分に評価されなかったという受け止めが国内で広がりました。「お金だけでよいのか」という議論が起こり、これを当時「国際貢献論」と呼びました。戦争終結後には、機雷を除去するために海上自衛隊の掃海部隊がペルシャ湾へ派遣されています。
3. PKO協力法とカンボジア
1992年、国際平和協力法(PKO協力法)が成立しました。国連の平和維持活動などに、日本が人員を派遣できるようにする法律です。武器の使用を厳しく制限するなど、いくつもの条件が付けられました。
この法律にもとづく最初の本格的な派遣先がカンボジアです。内閣府の資料によると、1992年から1993年にかけて、次の人員が派遣されました。
| 区分 | 人数・内容 |
|---|---|
| 施設部隊 | 陸上自衛隊 計1,200名(第1次600名、第2次600名)。道路や橋の補修などを担当 |
| 停戦監視 | 自衛官 計16名(第1次8名、第2次8名) |
| 文民警察 | 75名 |
| 選挙要員 | 計41名(国家公務員5名、地方公務員13名、民間23名) |
| 輸送支援 | 海上自衛隊の輸送艦2隻・補給艦1隻、航空自衛隊のC-130H型輸送機6機 |
この派遣では、文民警察官と国際連合ボランティアの日本人が現地で亡くなっており、活動の危険性が国内で強く意識されることになりました。
4. 2001年以降
2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが起こります。国家どうしの戦争ではない形の攻撃に、各国がどう対応するかが課題となりました。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1991年 | 湾岸戦争。戦後、ペルシャ湾へ掃海部隊が派遣される |
| 1992年 | 国際平和協力法が成立し、カンボジアへの派遣が始まる |
| 2001年 | アメリカ同時多発テロ。テロ対策のための特別措置法が制定される |
| 2003年 | イラク戦争。復興支援のための特別措置法が制定される |
| 2004年 | イラクのサマーワへ、人道復興支援のため自衛隊が派遣される |
| 2009年 | ソマリア沖・アデン湾での海賊対処のための法律が制定される |
いずれも、そのつど特別の法律を作るか、既存の法律の枠内で行うかが国会で議論されました。活動の内容は、輸送、給油、医療、道路や施設の復旧など、戦闘以外の分野が中心です。
5. 近隣との関係
冷戦の終結は、東アジアの構図も変えました。中国は1990年代以降、急速に経済を成長させ、日本にとって最大級の貿易相手になります。韓国も工業化を進め、人の行き来が大きく増えました。
一方で、解決していない問題も残りました。朝鮮半島では休戦状態が続き、核開発やミサイルの発射が地域の安全にかかわる問題になっています。2002年には日本と北朝鮮の首脳会談が行われ、日本人が拉致された事実が認められて、同年に5人が帰国しました。それ以外の被害者については、2026年9月時点でも解決していません。
6. お金による協力
人を送ることだけが国際的な役割ではありません。日本は政府開発援助(ODA)によって、発展途上国の道路、水道、病院、学校などの整備を支援してきました。1990年代には、日本の援助額が世界で最も多い時期もありました。
その後、国内の財政が厳しくなるにつれて援助額は減り、援助の重点も、大きな施設を造ることから、人材の育成や制度づくりへと移っていきます。
7. まちがえやすいところ
- 冷戦が終わって平和になったのではない。地域紛争やテロという別の形の問題が表に出た。
- 湾岸戦争に自衛隊が参戦したのではない。戦闘には加わらず、戦後に掃海部隊が派遣された。
- PKO協力法は自由に派遣できる法律ではない。条件が細かく定められている。
- 海外での活動は一つの法律で行われたのではない。そのつど法律が作られ、国会で議論された。
8. 1分で深掘り
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